鎌倉の学習塾
年間50冊-読書発表授業(塾長ブログ9)
私の塾では2015年の開塾以来、
小学生クラスを中心に読書を授業に取り入れております。
これは私自身が小学生~高校生の時期に読書をする機会が少なく、
その後苦労することになった経験が元になっています。
私は大学時代に読書の土台ができていないことを痛感することになりました。
大学時代の授業の半分程度は関連書籍を読むことが前提となっていましたが、
そもそも私には毎日読書をする習慣がなかったため、
毎日1時間本を読むということにさえ
苦痛を感じるような状況からのスタートでした。
しかし、強制的に毎日本を読み続けなければならない生活を2年ほど送ったことで、
読書をすることがそれほど苦痛ではなくなり、
毎日自然に読書をする習慣が身についたと思います。
そのような私自身が変化した経験を元に読書授業を行っております。
【読書授業ー目次】
1 読書授業の取り組み(年間50冊/50回発表)
1-1 本をどう選ぶか?(伝記マンガ ⇒ 塾長文庫 ⇒ 自分で選ぶ)
1-2 発表文の作成(内容要約 ⇒ 印象的な場面 ⇒ 全体の感想)
1-3 発表(作文を見ながら発表 ⇒ 作文を見ないで発表)
2 なぜ読書授業を行うのか?
2-1 総合的な学力向上
2-2 大学生まで通用する土台づくり(「考える力))
2-3 自習のしやすさ(つまずきにくさ)
1 読書授業の取り組み(年間50冊&50回発表)
1-1 本をどう選ぶか?(伝記マンガ ⇒ 塾長文庫 ⇒ 自分で選ぶ)
読書の難しさの1つに
「どの本を読むか」ということがあると思います。
読書習慣が身についている人は、
自分が読みたいと思う本を自分で選ぶことができますが、
そうでない人には、ここに大きなハードルがあります。
塾では、
「伝記マンガ ⇒ 塾長文庫 ⇒ 自分で選ぶ」という流れで、
本を選ぶ作業を手伝い、
自分の興味やレベルにあった本を選んでもらう取り組みをしています。
■伝記マンガの良さ
まだ活字の読書に慣れていない生徒は、
絵が沢山入った「伝記マンガ」から読書をスタートします。
伝記マンガを読むことで、
主人公の生きている時代や地域の情報を吸収できます。
有名な人物の成し遂げたことを知るだけでなく、
その背景となった時代や地域のことがなんとなく身につくのも
伝記マンガの良さだと思っています。
(テスト対策ではないので、覚えようとするのではなく、
「何となく知っている」という感覚を持てることが目標です。)
■塾長文庫とは
塾の教室には本棚が多く置かれており、
学習のための参考書や問題集だけでなく、
私自身が読んできたものから、
生徒たちが興味を持ってくれそうなものまで、
多くの本を取り揃えています。
小学生クラスでは、
各自が毎週1冊の本を選び読書感想文を書いてもらうことで、
1年間で50冊の読書&発表の経験を積んでいってもらいます。
■最終的には自分で本を選ぶ(10分間読書の取り組み)
読書の初期段階では、
興味ある本や読書レベルにあった本を選ぶことは難しいと思いますので、
塾で用意した本から読書を開始してもらいます。
個人差はありますが、
1~2年読書&発表を継続していただいた頃からは、
自分で本屋や図書館に行き本を選んでもらうことも推奨しています。
また塾でも多くの本に触れてもらうことを目的として、
授業時間内で「10分間読書」の時間をもうけ、
塾にあるどんなレベル・内容の本でもよいので手に取って眺めてもらっています。
1-2 発表文の作成(内容要約 ⇒ 印象的な場面 ⇒ 全体の感想)
小学生クラスでは週に1冊の本を読んでもらい、その本について
-
内容要約(100~200字)
-
印象に残った場面(100~200字)
-
全体を読んだ感想(100~200字)
の3点について、読書作文を書いてもらうようにしています。
(入塾初期の期間には、①内容要約のみを100字程度で書いてもらいます)
■内容要約
読んだ本の内容を、
その本を読んでない人にもわかるようにまとめ直す練習です。
内容の一部で書くのではなく、
全体像をできる限りわかりやすく書くことがポイントになります。
■印象に残った場面
その本を読んで、自分の印象に残った場面を1つ選んで紹介してもらいます。
内容要約とは違い、本全体の内容をまとめる必要はないため、
一部分を切り取って詳しく説明してもらう練習になります。
■全体を読んだ感想
最後は、本の内容ではなく、
自分自身が感じたことについて説明してもらう練習になります。
最初は、小学生にありがちな「型にはまった書き方」
(思っていないことを、字数を稼ぐために書くような書き方)
でも良しとしますが、
文章を書くことに慣れてきた段階からは、
本を読んで自分が思ったことをできる限り忠実に書いていく練習や
いろいろなタイプの感想文の書き方を学んでいくこととなります。
1-3 発表(作文を見ながら発表 ⇒ 作文を見ないで発表)
読書授業では、書いてきた文章を自分で読んで発表してもらいます。
毎回自分自身で発表してもらうことには次のような利点があります。
■ 自分で声に出して読むことで間違いに気づく
自分で声に出して発表することで、
「てにをは」の間違いや、文章のねじれに気づくことができます。
用意してきた文章をその場でタイムリーに添削していくことで、
「熱いうちに鉄は打て」を実践することがポイントです。
書いた文章を生徒自身が覚えているうちに、
その場で添削をすることを第一に心がけています。
■ 内容を整理して話す訓練
作文練習を1年程度継続し、ある一定のレベルに達した生徒には、
書いた文章を見ずにほんの内容を発表してもらっています。
準備した文書をただ読むのとは異なり、
内容を頭の中で整理しておかないと、
本の要約や感想を発表することはできません。
かなり高度な内容にはなりますが、
頭を鍛える訓練としては非常に良いと考えて継続しています。
2 なぜ読書授業を行うのか?
2-1 総合的な学力向上
塾の役割は「生徒の学力向上のお手伝い」だと考えています。
では、生徒の学力が向上する最も効果的な学習法とは何でしょうか?
もちろん、その内容は人それぞれに最適な方法があると思いますが、
より多くの人に有効な方法は、以下の3点を満たすものだと考えます。
① ご自宅で自主学習ができること(「自習」)
② 毎日続けられること(「継続」)
③ それぞれの興味に合ったこと(「興味」)
この「自習」「継続」「興味」の3点を満たすものを学習することができれば、
その人の学力は確実に向上していくと思いますし、
この3点を満たす学習法は、
「読書」以外にはなかなかないのではないかと私は思っています。
読書は
① 自分のレベルにあった本を持ち帰り、(「自習」)
② 勉強の合間に毎日30分程度読書をし、(「継続」)
③ 本の内容をも、自分の興味に合わせて選ぶ(「興味」)
ことができます。
ただ読んで終わりではなく、内容要約や感想文を通じて、
「話をまとめる力」や「自分の考えを説明する力」を身につけることで、
全ての教科を学ぶ土台をつくることができます。
このような理由から、
ここまでの約10年間、私は読書授業というものに取り組んでおります。
2-2 大学生まで通用する土台づくり(「考える力))
塾の指導で最も意識していることの1つに、
全ての学習の土台となる「考える力」を鍛えることがあります。
「考える力」がある程度育っていない段階で、
英語や数学などの各教科の内容をいくら授業しても、
理解できずに丸暗記で済ませてしまい、
1週間もしないうちにほぼ全てを忘れる悪循環に陥ってしまいます。
このようなことにならないために、
各教科の授業に進む前に全ての教科の土台となる
「考える力」を鍛えておくことが重要となり、
① 質問形式の授業(個別指導)
② 漢字&基礎計算の徹底特訓
③ 勉強の1週間スケジュール作成&手帳記録
④ 読書感想文&発表
などの指導を、塾では時間をかけて行っています。
中でも最も時間をかけて取り組んでいるのが「読書授業」となりますが、
毎週継続・反復していると、
生徒が少しずつ自分の頭で物事を考えるようになり、
話し方や話す内容のレベルが変わってくるのが感じられるようになります。
その後に教科内容の指導を行うことで、
「急がば回れ」になりますが、
より効果的に学習を進めていただくことが可能になると考えています。
2-3 自習のしやすさ(つまずきにくさ)
生徒たちに学習習慣を身につけてもらう上で意識していることに
「自習のしやすい教材を渡すこと」があります。
もちろん、自習がしやすいからといって、
計算プリントや漢字のようなものだけでは生徒は飽きてしまいます。
そこで塾で取り入れているのが、以下の4つです。
①思考パズル
②中学受験問題
③教養暗記(俳句・百人一首・国名暗記など)
④読書発表
中でも読書の良い点は、
いったんコツさえ身につけてしまえば、
本はご自宅にも、本屋にも、町の図書館にもいくらでも置いてあり、
自分のレベルや興味に合った本を選ぶことが比較的容易なことです。
思考パズルや中学受験問題などで、
自分のレベルに合った問題を継続して見つけるのは、
そう簡単なことではありません。
塾の教師をしていても、
生徒のレベルにあった自習用の問題を用意し続けることは
骨の折れる作業だと感じておりますので、
それをご自身で行うことは非常に困難なことだと思います。
そして読書に終わりはありません。
中学生や高校生になっても、
むしろ大学生や社会人になってからの方が読書の必要性は増していきます。
受験における国語の点数upももちろん重要なことではありますが、
塾を卒業されてから、将来塾で培った読書経験が生きてくることを期待して、
この読書授業を開塾以来続けております。
当塾の読書発表授業の取り組みにご興味を持っていただけた方は、
是非一度塾にお越しいただければと思います。